ゆるされないと、わかっていても
「あの、先生。」
「ん?」
「か、彼女さんと別れちゃったんですか。」
結局聞いてしまった
「……生徒の情報網ってすごいんだね。」
本当なんだ…
「浮気されちゃってさ、まあ俺が仕事優先にしてほったらかしちゃったからかなーははっ。」
「なんで笑ってられるんですか!」
「え?」
「浮気されて悲しくてつらくて苦しいはずなのになんでそう笑ってられるんですか。」
先生があの時の自分と重なってどんどん思いが溢れていく
「悲しいなら悲しいって言わなきゃダメじゃん…。」
「え、泣いてる?」
なんでかわかんないけど涙が止まらなくなった。
「泣いてますよ!私も浮気されたことあるから…先生の気持ち痛いほどわかるんです。」
「そんな辛い時なら私のこと気にしてくれなくて良かったのに。自分をもっと大切にしてください。」
「正直、先生に気にかけてもらった時、色々悩んでて、嬉しかったんです、先生が気づいてくれたことが。いつも気づかれることないから。」
「私じゃ全然頼りにならないけど、今度は私が先生を助けたいんです。もっと本当の気持ち言っていいと思います!」
先生はしばらく黙っていた
やっぱり関係ないことは踏み込んでほしくなかったかな
「ありがとう…。正直つらいし悲しいよ。悲しさ紛らわすために仕事に一生懸命専念してる。確かに思ったことは言ってかなきゃね。教えてくれてありがとう。」
「人のために泣けるなんて宮間さんは優しい子なんだね。」
「思ったことすぐ言っちゃうの私の悪いところで、関係ないのに色々言っちゃってごめんなさい。」
「ううん。心が軽くなった気がするよ。」
「夏休み明けてもわからないところ聞きに行ってもいいですか?」
「もちろん。宮間さんだって我慢しすぎたらだめだよ?」
「はい。」
「よし!これでおあいこね。あ、この話は2人だけの秘密で。」
そう言って先生は人差し指を立てて自分の口に当てた
先生の力になりたい
支えになりたい
先生のそばにずっといたい
人を好きになるのが怖かったのに先生は自然に私の心の中に入ってきて
だんだんその割合が自分でも気づかないうちに増えてた
きっとこれは同情なんかじゃない
私、先生のこと好きなんだ。