ゆるされないと、わかっていても
ピロン
『ねー、なんか知らない女子にこれ落ちてたって綺麗に畳んであるジャージとタオル受け取ったんですけど?なんで藍が持ってきてくれないの?』
そうなんです。返す時に連絡先知ってた方が楽だろって連絡先を交換してしまったんです。
他の女子に恨まれたくないから交換したくないとも言えず
そして流れでよく連絡を取り合う仲に
あーこんなことバレたらしたら他の女子に何て言われるか、絶対に言えない
でも連絡取り続けたいなって思っちゃってる自分がいるんです
『だって私なんかが行くより他に杉野くんに会いたい人が沢山いるからその人に行ってもらった方が』
胸がキュッと苦しくなる
本当は渡しに行きたかった
杉野くんのことが気になってる
なんて口が裂けても言えない
『は?なにそれ。「私なんか」って言い過ぎ。』
やばいなんで怒ってるのー
女子より先に杉野くん怒らせたらもっと最悪
『それは
どうしよ、なんて送ろう
既読をつけたまま1人でわたわたしていたら
ブーブーブー
「嘘!?」
「は、はい…!」
「既読無視すんな。」
ちょっと悲しそうなそんな声が聞こえた
「いや、あの返信何送ろうかずっと考えてて。」
「………ってたのに。」
「え?ごめんなんて?聞こえなかった。」
「だから…藍が返しにきてくれるの、ずっと待ってたのに。」
ドキンドキンドキン
心拍数が速くなってくるのが自分でもわかる
そんなこと言われたら好きになっちゃうよ
「ほ、ほら、杉野くんってファンクラブできちゃうくらいモテるからさ!私なんかが近寄ったら
「そんなん関係ない。藍は藍だし。他の女の子がどう思おうが、俺がどう思うかだから。」
俺がどう思うって?
「あの……ごめんね?」
「別にいいよ。」
またしゅんと悲しそうな声で言われた
私はこれに弱い気がする
「じゃあその代わり明日の放課後、ちょっと付き合ってよ。」
付き合う?いや違う違う、そういうんじゃなくて
なんで言葉1つ1つに敏感になってんだろ
もう、好きなんじゃん私
そう思うと一気に火照ってきた
「わ、わかった。」