イモーションロックシンドローム〜永遠の絆〜
初めてその歌を聴いた時、光は何も思わなかった。友達がいなくなった光にとって、絆というものは永遠に交わることのない存在だと思っていたからだ。でも、さっきの紫苑を見て、光の中で何かが変わろうと必死にもがいている。

「……絆って、こういうこと?」

少し、話した言葉に感情があったような気がした。光の小さな呟きを聞き、紫苑の目が一瞬見開かれる。そして、その顔は優しい笑顔になった。

「絆っていうのはさ、知らず知らずのうちにできているものなんだよ。その結び付きは簡単には解けない」

紫苑はそう教えてくれた。光の顔は相変わらず無表情だが、瞳はまっすぐ紫苑を見つめている。

夕焼けが照らす中、二人は手をつないでマンションへと走った。






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