イモーションロックシンドローム〜永遠の絆〜
運動部の声を聞きながら勉強を続けていると、光の持っているシャープペンの芯がボキッと音を立てて折れた。それと同時にガラリと保健室のドアが開く。
「すみませ〜ん、ちょっと怪我しちゃって……って今保健室の大野先生いないのか」
そう言って入ってきた男子は、保健室登校をしている光でさえもよく知っている顔だった。日焼けをした肌に、クシャクシャの髪、クラスメートの男子より頭ひとつ分高い身長ーーー。健康の一言が浮かぶその男子生徒の肘からは血が出ている。
「あっ……」
光の口から声が漏れる。男子生徒は光を見た刹那、安心させるかのように笑う。そして「おはよう!」と笑った。
この男子生徒の名は、桃山紫苑(ももやましおん)。サッカー部に所属しており、光と同じマンションに住んでいるご近所さんだ。光が父親から部屋を追い出された時、光を家に何故か招き入れてくれたりする。
「座って。手当てしないと」
抑揚のない声で光は言い、紫苑は椅子に大人しく座る。何も感じない光には、紫苑を特別心配する気持ちなどない。ただ、養護の先生がいないから自分がしなければならないといけないと考えたからだ。
「すみませ〜ん、ちょっと怪我しちゃって……って今保健室の大野先生いないのか」
そう言って入ってきた男子は、保健室登校をしている光でさえもよく知っている顔だった。日焼けをした肌に、クシャクシャの髪、クラスメートの男子より頭ひとつ分高い身長ーーー。健康の一言が浮かぶその男子生徒の肘からは血が出ている。
「あっ……」
光の口から声が漏れる。男子生徒は光を見た刹那、安心させるかのように笑う。そして「おはよう!」と笑った。
この男子生徒の名は、桃山紫苑(ももやましおん)。サッカー部に所属しており、光と同じマンションに住んでいるご近所さんだ。光が父親から部屋を追い出された時、光を家に何故か招き入れてくれたりする。
「座って。手当てしないと」
抑揚のない声で光は言い、紫苑は椅子に大人しく座る。何も感じない光には、紫苑を特別心配する気持ちなどない。ただ、養護の先生がいないから自分がしなければならないといけないと考えたからだ。