冬に花弁。彷徨う杜で君を見つけたら。
ハナフリ
『ヒュンヒュンヒュンヒュン』
独特の旋回リズムから
『シュゥーーザ、カチャカチャ』
『ツツ、ブーーーーーーーーン』
エアーを切りながら、
ヘリコプターが 離陸を始めると
回転する
羽から起きる風圧で
海面が ザーーーーッと
草原のように
一気に円形状の波立ちをみせる。
「凄げーな、助走なしで、離陸
できんだな。ヘリだとさ。」
寝転がったままのルイが
傾きながら
バランスをとるヘリコプター
を仰いで呟く。
「はぁ、もぉ。ほんまに良い子は
飛び込で助けはるんは、
絶対マネしたらあきませんえ」
未だへたりこんでいる
キコも、ヘリコプターから離れた
消防隊員の様子を見ながら
疲れで叫ぶ。
チョウコもリンネも
キコと同じように堤防に
座り込みながら、
空を仰ぎ、
ヘリコプターに手を振ると、
「テイクオフですね。って、
あ、あれ?これ?!何?!」
リンネがそのまま
空に釘付けになる。
「えー!あたし頭おかしなった
かもしれへん!太陽が、へんな
形で落ちてくるんやけど?!」
チョウコも空から
視線を外せず、
焦った声を出した!
昼の太陽に
離陸したヘリコプターが
重なった時、
急に背景の太陽がぐんぐん
自分達に近づくように
見えて
なぜか、
ヘリコプターの影と相まって
太陽が船型になった。
ヘリコプターの羽が
櫂に見えるような錯覚を
起こす。
すると、
太陽から弾けるように
色とりどりの光が
無数に飛び出す。
「にゃぁーー!!チョウコさん
うちには蓮やわぁ、蓮ん花
に見えてぇ、え?え?」
その光のが
まるで花火のように弾けると
花弁のように五色の光が
キラキラと 下へ降ってきたのだ
「これが、もしかして
『ハナフリ』ですか、、」
リンネが惚けた顔で、
蓮花が降るように光るモノが
そのまま広がって
海に降ると
海が 輝く。
神々しく 不思議な現象。
『うあーーわ!ハナ降ってんぞ』
『ハナフリや、ハナフリーー』
救助作業を視ていた重鎮や、
消防隊員達がざわめき立つ。
「何?!ハナフリて!」
チョウコが叫ぶとクラシタが
「自然現象、、ですけど、、
こんな時期、、時間は、ない」
呆然とした声で答える。
『すごい!すごいで!これ!』
『みんな、見ろや!奇跡や!』
防波堤に来た釣り人が
浮き足だって、天に手をかざす。
五色の光が
花降る様は
あの世の光景のようで、
錯覚か、幻めいている。のに
まさに
自分の前に飛んでくるように
見える様は 意思さえ
感じる。
「うおーーー、こい!こい!」
ルイが
思わず手をのばして拾うが
まるで嘘のように
実体がない
天界のシャボン玉。
子どもに戻って
飛んできた光を、懐かしげに
手を伸ばすも
触るものはない奇妙さに
「なんじゃこりゃ!ない!」
ルイは唸っている。
『カシャカシャ』
クラシタが夢中で、肩に下げる
カメラのシャッターを切る。
レンズは、
降り注ぐ
光の中に佇む
リンネに向かっていた。
リンネが、
クラシタをみる。
リンネのライトブラウンの髪に
光が重なると
今度は
金貨が煌めくようにも
見える。
「あの、、ユアさん、、好きで
す、一緒になって、ください」
クラシタは、
そんなリンネを眩しそうにして
カメラを下ろすと
突然、言った。
まだ
色とりどりの花弁が落ちる。
「何で、このタイミングなん!」
リンネの隣で
チョウコがクラシタに
叫んぶ。
「世の中、何が、、あるか、
わからないと、、思いまして」
光は
万華鏡のように変化していく。
とても、
人の手による
仕業になりえない
妙技に、
『みんなー、出ろ!昼間の
ハナフリやぞー!出ろ、出ろ』
集落中に残る人が家々から
顔を出し、
わらわらと港に踊り出て
釣り人も竿を置いて、
誰もが
手を空に伸ばす。
そんな中で、
寝転がるルイも体をお越して、
ハナフリの中
告白したクラシタを面白そうに
見ている。
「考えてみーや!こんな人多い
とこで告られたら断れんやん」
チョウコが、
光の残像を追って
空を掴みながらクラシタを
非難する。
「にゃぁ、チョウコさん。
リンネさんはそない人やないわ」
そんなチョウコにキコが
電話で写真を撮りながら
告げると、
「考えてさせて、ください。」
間髪いれずに
リンネもクラシタに答える。
「ほらぁ。らしいわぁ。」
紫や金色。光が舞う中で
キコがリンネに笑った。
『はじめて見れた、、』
『これがハナフリか、、』
港に集まる人の
頭にどんどん幻の花弁が降る。
「あたし、ええ季節になったら、
ルイくんとこ、琵琶湖行くわ。」
今度はチョウコも
電話を出して写真を撮る。
「いゃあ、チョウコさん、この
タイミングで言いはるん?」
「そんで、セスナの免許とる!
水陸両用機のエアバスドライバ
ーなるわ!そんで琵琶湖行く」
降り積もることない
光の玉が
現実の風景を
霞がけはじめた。
「オレ、一緒の墓には入られへん
けど、それでええなら
いつでも隣あけとくぞー!」
チョウコの琵琶湖行きに
ルイが悪そうな顔をする。
「ルイさん、結婚してはるん?」
「バツイチー。子どもはなし!」
「ならあ独身やねぇ。ここなら」
きゃらきゃらと
キコとチョウコがまた笑う。
次第に
海の表面が五色に染まる。
「クラさん、わたし、足の指
片方ないんですよ。だから、」
「知って、、ます。だから、
人形職人、なんですよね、、」
「そう、ですか。ですね。」
その海を見ながら
リンネはクラシタに告げると
大きく天を突き上げるように
伸びをした。
はじめ
太陽から無数に光を放ち
五色の光球が降りそそいだ
ハナフリは
海を五色に輝かせてたあと
今
波の反射で海を満面に
輝かせて
終わりを告げようとしている。
『ウーーーーーー、』
それを合図するかに
港のサイレンが鳴った。
リンネが立ち上がると
チョウコがリンネの腕を
引っ張った。
「もー、リンネさん!いろいろ
あったんかもやけど!引き摺り
すぎなんちゃう?足やって、
クラさん、まるっと受け止めん
で。この人きっといけるって」
そんな、チョウコに
キコが
「なんやのん、チョウコさんかて
うでに蝶々の刺青いれてはる
ん、リュウちゃんとお揃いの」
揶揄る。
「そうゆう、キコさん。パンツス
ーツのベルト男物ですよね?
旦那さんのじゃないですか?」
リンネが、キコの
ウエストを指差した。
そのやり取りに
「いいんじゃ、ないですか、、
全部、ひっくるめての、、
これからの、、人生です、」
『カシャッ』
クラシタが
リンネ、キコ、チョウコを
被写体にして、微笑む。
「クラさん!エエやつやん!」
「泣いてはるぅ?チョウコさん」
「うるさいなあ、
このウーってサイレンって
何のお知らせなん?」
居心地悪そうな顔の
チョウコが誤魔化すように聞く
と、ルイが答えた。
「直売するから、準備してー!」
「ああ、凄く人が集まってます」
チョウコが差し出した手を
リンネが掴むと
チョウコも立ち上がる。
「なあ、リンネさん!これで
うちらの古道詣では終わり?」
「えぇ、ほんまやわぁ。
3日、あー、いう間やったわぁ。
卍がもぉ昔にやもんねぇ。」
キコもチョウコを見て
ようやく座っていた腰をあげた。
「、、はい!終わりです。
未熟ながら先達、無事
務めさせてもらいました。」
「よ!カリスマ先達!!
目的もかなったやん!」
チョウコが合いの手を入れて
言った言葉にキコが
食い付いた。
「えぇ?チョウコさん、
リュウちゃんさんに会い
はったん?いつの間ぃ?」
「見て!さっきの太陽写真撮った
ら!!ほら!リュウちゃんや」
そんなキコに、ドヤ顔をして
チョウコがさっきの
写真を電話に
表示させた。
「「「「ええ?!」」」」
「ハナフリ、全然、撮れない、
のに、、何故、、???」
クラシタが呟いた
チョウコの電話の写真には
船型の太陽に
蝶のような羽の人影が
しっかり映りこんでいた。
独特の旋回リズムから
『シュゥーーザ、カチャカチャ』
『ツツ、ブーーーーーーーーン』
エアーを切りながら、
ヘリコプターが 離陸を始めると
回転する
羽から起きる風圧で
海面が ザーーーーッと
草原のように
一気に円形状の波立ちをみせる。
「凄げーな、助走なしで、離陸
できんだな。ヘリだとさ。」
寝転がったままのルイが
傾きながら
バランスをとるヘリコプター
を仰いで呟く。
「はぁ、もぉ。ほんまに良い子は
飛び込で助けはるんは、
絶対マネしたらあきませんえ」
未だへたりこんでいる
キコも、ヘリコプターから離れた
消防隊員の様子を見ながら
疲れで叫ぶ。
チョウコもリンネも
キコと同じように堤防に
座り込みながら、
空を仰ぎ、
ヘリコプターに手を振ると、
「テイクオフですね。って、
あ、あれ?これ?!何?!」
リンネがそのまま
空に釘付けになる。
「えー!あたし頭おかしなった
かもしれへん!太陽が、へんな
形で落ちてくるんやけど?!」
チョウコも空から
視線を外せず、
焦った声を出した!
昼の太陽に
離陸したヘリコプターが
重なった時、
急に背景の太陽がぐんぐん
自分達に近づくように
見えて
なぜか、
ヘリコプターの影と相まって
太陽が船型になった。
ヘリコプターの羽が
櫂に見えるような錯覚を
起こす。
すると、
太陽から弾けるように
色とりどりの光が
無数に飛び出す。
「にゃぁーー!!チョウコさん
うちには蓮やわぁ、蓮ん花
に見えてぇ、え?え?」
その光のが
まるで花火のように弾けると
花弁のように五色の光が
キラキラと 下へ降ってきたのだ
「これが、もしかして
『ハナフリ』ですか、、」
リンネが惚けた顔で、
蓮花が降るように光るモノが
そのまま広がって
海に降ると
海が 輝く。
神々しく 不思議な現象。
『うあーーわ!ハナ降ってんぞ』
『ハナフリや、ハナフリーー』
救助作業を視ていた重鎮や、
消防隊員達がざわめき立つ。
「何?!ハナフリて!」
チョウコが叫ぶとクラシタが
「自然現象、、ですけど、、
こんな時期、、時間は、ない」
呆然とした声で答える。
『すごい!すごいで!これ!』
『みんな、見ろや!奇跡や!』
防波堤に来た釣り人が
浮き足だって、天に手をかざす。
五色の光が
花降る様は
あの世の光景のようで、
錯覚か、幻めいている。のに
まさに
自分の前に飛んでくるように
見える様は 意思さえ
感じる。
「うおーーー、こい!こい!」
ルイが
思わず手をのばして拾うが
まるで嘘のように
実体がない
天界のシャボン玉。
子どもに戻って
飛んできた光を、懐かしげに
手を伸ばすも
触るものはない奇妙さに
「なんじゃこりゃ!ない!」
ルイは唸っている。
『カシャカシャ』
クラシタが夢中で、肩に下げる
カメラのシャッターを切る。
レンズは、
降り注ぐ
光の中に佇む
リンネに向かっていた。
リンネが、
クラシタをみる。
リンネのライトブラウンの髪に
光が重なると
今度は
金貨が煌めくようにも
見える。
「あの、、ユアさん、、好きで
す、一緒になって、ください」
クラシタは、
そんなリンネを眩しそうにして
カメラを下ろすと
突然、言った。
まだ
色とりどりの花弁が落ちる。
「何で、このタイミングなん!」
リンネの隣で
チョウコがクラシタに
叫んぶ。
「世の中、何が、、あるか、
わからないと、、思いまして」
光は
万華鏡のように変化していく。
とても、
人の手による
仕業になりえない
妙技に、
『みんなー、出ろ!昼間の
ハナフリやぞー!出ろ、出ろ』
集落中に残る人が家々から
顔を出し、
わらわらと港に踊り出て
釣り人も竿を置いて、
誰もが
手を空に伸ばす。
そんな中で、
寝転がるルイも体をお越して、
ハナフリの中
告白したクラシタを面白そうに
見ている。
「考えてみーや!こんな人多い
とこで告られたら断れんやん」
チョウコが、
光の残像を追って
空を掴みながらクラシタを
非難する。
「にゃぁ、チョウコさん。
リンネさんはそない人やないわ」
そんなチョウコにキコが
電話で写真を撮りながら
告げると、
「考えてさせて、ください。」
間髪いれずに
リンネもクラシタに答える。
「ほらぁ。らしいわぁ。」
紫や金色。光が舞う中で
キコがリンネに笑った。
『はじめて見れた、、』
『これがハナフリか、、』
港に集まる人の
頭にどんどん幻の花弁が降る。
「あたし、ええ季節になったら、
ルイくんとこ、琵琶湖行くわ。」
今度はチョウコも
電話を出して写真を撮る。
「いゃあ、チョウコさん、この
タイミングで言いはるん?」
「そんで、セスナの免許とる!
水陸両用機のエアバスドライバ
ーなるわ!そんで琵琶湖行く」
降り積もることない
光の玉が
現実の風景を
霞がけはじめた。
「オレ、一緒の墓には入られへん
けど、それでええなら
いつでも隣あけとくぞー!」
チョウコの琵琶湖行きに
ルイが悪そうな顔をする。
「ルイさん、結婚してはるん?」
「バツイチー。子どもはなし!」
「ならあ独身やねぇ。ここなら」
きゃらきゃらと
キコとチョウコがまた笑う。
次第に
海の表面が五色に染まる。
「クラさん、わたし、足の指
片方ないんですよ。だから、」
「知って、、ます。だから、
人形職人、なんですよね、、」
「そう、ですか。ですね。」
その海を見ながら
リンネはクラシタに告げると
大きく天を突き上げるように
伸びをした。
はじめ
太陽から無数に光を放ち
五色の光球が降りそそいだ
ハナフリは
海を五色に輝かせてたあと
今
波の反射で海を満面に
輝かせて
終わりを告げようとしている。
『ウーーーーーー、』
それを合図するかに
港のサイレンが鳴った。
リンネが立ち上がると
チョウコがリンネの腕を
引っ張った。
「もー、リンネさん!いろいろ
あったんかもやけど!引き摺り
すぎなんちゃう?足やって、
クラさん、まるっと受け止めん
で。この人きっといけるって」
そんな、チョウコに
キコが
「なんやのん、チョウコさんかて
うでに蝶々の刺青いれてはる
ん、リュウちゃんとお揃いの」
揶揄る。
「そうゆう、キコさん。パンツス
ーツのベルト男物ですよね?
旦那さんのじゃないですか?」
リンネが、キコの
ウエストを指差した。
そのやり取りに
「いいんじゃ、ないですか、、
全部、ひっくるめての、、
これからの、、人生です、」
『カシャッ』
クラシタが
リンネ、キコ、チョウコを
被写体にして、微笑む。
「クラさん!エエやつやん!」
「泣いてはるぅ?チョウコさん」
「うるさいなあ、
このウーってサイレンって
何のお知らせなん?」
居心地悪そうな顔の
チョウコが誤魔化すように聞く
と、ルイが答えた。
「直売するから、準備してー!」
「ああ、凄く人が集まってます」
チョウコが差し出した手を
リンネが掴むと
チョウコも立ち上がる。
「なあ、リンネさん!これで
うちらの古道詣では終わり?」
「えぇ、ほんまやわぁ。
3日、あー、いう間やったわぁ。
卍がもぉ昔にやもんねぇ。」
キコもチョウコを見て
ようやく座っていた腰をあげた。
「、、はい!終わりです。
未熟ながら先達、無事
務めさせてもらいました。」
「よ!カリスマ先達!!
目的もかなったやん!」
チョウコが合いの手を入れて
言った言葉にキコが
食い付いた。
「えぇ?チョウコさん、
リュウちゃんさんに会い
はったん?いつの間ぃ?」
「見て!さっきの太陽写真撮った
ら!!ほら!リュウちゃんや」
そんなキコに、ドヤ顔をして
チョウコがさっきの
写真を電話に
表示させた。
「「「「ええ?!」」」」
「ハナフリ、全然、撮れない、
のに、、何故、、???」
クラシタが呟いた
チョウコの電話の写真には
船型の太陽に
蝶のような羽の人影が
しっかり映りこんでいた。