冬に花弁。彷徨う杜で君を見つけたら。
カレー・に入れる肉
「ここはですね、一棟貸しの農家
民宿で、今私がお世話になって
おります。、、お2人もどうぞ」
人形職人で
片足は義足だと自分を
紹介したライトブラウンの
ウェーブヘアの女=リンネは、
車から出て来た2人に言って
民宿というわりには、
スイスの山小屋みたいな
木造の建物に、2人を促した。
「なんや登山の山小屋やわ。」
茶髪ショートカットに、グレーの
パンツスーツ姿の女=キコが、
泥だらけになったスニーカーを
脱いで、玄関に上がる。
「あ、宿の人に言うとかなー
あかんのちゃう?挨拶行くよー」
黒髪ポニーテール女=チョウコが
リンネの方に向いた。
「いいです。一応一棟を連泊して
る間に、仕事の打ち合わせで、
人も訪ねてくるので。それに、
随分よく、してもらってて。
でもまあ、食材を聞いてきます。
1人分しかないので。じゃあ、」
荷物適当に、部屋にどうぞと、
リンネは母屋らしき建物に
消えた。
「チョウコさん、リンネさんは?
ご飯どないします?こないとこ
食べに行けるとこありしません
やろ?宿かて、嫌がるやろし」
キコが、チョウコの後ろを
覗いて声をかける。
「キコさんてさー、いきなり
遠慮ないんやな。マイペース。
なあ、キコさん、都の人ー?」
リンネさんが宿に話してくるって
と、チョウコは荷物を玄関に置く
キコが、電気のスイッチを探す。
すっかり、日が傾いてくると、
周りに人口の明かりが
無い山では、
早くも夜の戸張が降りてきた。
「チョウコさんやて、
どこのお人?ていうても、和泉?
って感じやなぁ。 うちも、
都やのうて、周りのぉ府やよ。」
府ぅ~。とキコが強調する。
「ゆーても、あたし 生まれは、
関東やでー。中学で引っ越して
それからやわ。地元やないねん」
スイッチこれちゃう?と
チョウコが壁に手を伸ばすと、
小屋の中が明るく姿を現した。
ならぁ、リンネさんは?
2人が荷物を玄関から中に
移動させると、リンネが
野菜と、米を手に戻ってきた。
「女将さんが、食材を分けてくれ
ました。これで、ご飯作れます」
カレーにしましょう。
リンネが、2人の前を通りすぎて
小屋の中に進んでいく。
玄関の明かりだけが灯る小屋で、
ほの暗い部屋に入ると、
チョウコが声を上げた。
「うぇー、ここって絶景ビュー
やん!!めちゃぜいたくー。」
「いやぁ、ほんまええ景色や。」
「夜に明かりを消すと、星が
すごいですよ。山の醍醐味です」
リビング一面が
展望ガラス張りになって、
夕方の山合の影と、空が、
カクテルグラデーションを創る。
もう、その上空には一番星さえ
煌々と光っていた。
「そうや、リンネさんて、どこの
人ー?ここじゃないやんねー。」
チョウコが、リンネの荷物を
手伝って持つと、
リンネが リビングの電気をつけた
「、、加太に住んでます。」
「ふうん。あんま、らしくない
しゃべりやから、意外ー。」
チョウコの返事に合わせて
紀州のお人ですかぁと、キコが、
炊飯器を洗う。
「キコさん、ほんまちゃっとやる
のん、躊躇ないなー。普通、米
やりますとか言うとこやん。」
「えぇ、さっきカレーやて言うて
はりましたやん。米洗いますぅ」
キコが炊飯釜にチョウコから
渡された米を入れる。
「あの。お2人はご友人で?」
『チャッチャ、チャッチャ』
研ぐ音をBGMに。
「ちゃうちゃう。ヒッチハイク
して来よった、全然他人やよ。」
『ザーーーーー』
じゃがいもを見つけて洗えば。
「それ違いますわ。チョウコさん
が、車でナンパしてきはったん
でしょ?クラクション押して」
『♪♪~♪♪♪♪~』
炊飯器のスイッチ曲が流れる。
「ふつう山ん中、女1人ヘロヘロ
で歩いとったら、クラクション
鳴らすやろ?リンネさん、包丁」
リンネが、玉ねぎを剥くため
手に取ると、チョウコの言葉に、
少し間を溜めて 呟いた。
「怖いですね。」
えー、別に子供じゃないし
包丁大丈夫やってー。
あらぁ、チョウコさん警戒され
てますかぁ。
人参やジャガイモを持つ
2人の女達は、揃ってリンネを
見て
それぞれにしゃべる。
「今ので、長く独り暮らし
してきた感じしますよね。
私たち、空気が似てますよ。」
キッチンの備え付けから、3本
包丁を出して
「初めて会った割にはですけど」
1本を自分の前に置くと、
あとの2本をそれぞれ2人に
渡す。
「それに、ふつうじゃない。」
そしてリンネは、
玉ねぎの皮を剥ききって、
置いていた包丁でタンと切ると。
「だって、そうでしょ。」
『トントントントン』
千切って、
「亡くなった人の魂に会いたい
から、寺で待たせてくれなんて」
『貴女も、貴女も。』
黙っままの、
チョウコとキコの間に置いた鍋に
玉ねぎを入れる。
「、、、肉は、、、」
「お肉先やわ、、、」
チョウコとキコの目は、間の鍋に
注がれる。
「お肉は入なし!生臭禁止で!」
行くのですよね?
待つのですよね?
リンネはそれだけ伝えて、
コンロの火を付けた。
チョウコはジャガイモを、
キコは人参を 鍋に入れる。
他人3人でカレーを創れた頃
には、星は澄んだ空に
高く昇っていた。
民宿で、今私がお世話になって
おります。、、お2人もどうぞ」
人形職人で
片足は義足だと自分を
紹介したライトブラウンの
ウェーブヘアの女=リンネは、
車から出て来た2人に言って
民宿というわりには、
スイスの山小屋みたいな
木造の建物に、2人を促した。
「なんや登山の山小屋やわ。」
茶髪ショートカットに、グレーの
パンツスーツ姿の女=キコが、
泥だらけになったスニーカーを
脱いで、玄関に上がる。
「あ、宿の人に言うとかなー
あかんのちゃう?挨拶行くよー」
黒髪ポニーテール女=チョウコが
リンネの方に向いた。
「いいです。一応一棟を連泊して
る間に、仕事の打ち合わせで、
人も訪ねてくるので。それに、
随分よく、してもらってて。
でもまあ、食材を聞いてきます。
1人分しかないので。じゃあ、」
荷物適当に、部屋にどうぞと、
リンネは母屋らしき建物に
消えた。
「チョウコさん、リンネさんは?
ご飯どないします?こないとこ
食べに行けるとこありしません
やろ?宿かて、嫌がるやろし」
キコが、チョウコの後ろを
覗いて声をかける。
「キコさんてさー、いきなり
遠慮ないんやな。マイペース。
なあ、キコさん、都の人ー?」
リンネさんが宿に話してくるって
と、チョウコは荷物を玄関に置く
キコが、電気のスイッチを探す。
すっかり、日が傾いてくると、
周りに人口の明かりが
無い山では、
早くも夜の戸張が降りてきた。
「チョウコさんやて、
どこのお人?ていうても、和泉?
って感じやなぁ。 うちも、
都やのうて、周りのぉ府やよ。」
府ぅ~。とキコが強調する。
「ゆーても、あたし 生まれは、
関東やでー。中学で引っ越して
それからやわ。地元やないねん」
スイッチこれちゃう?と
チョウコが壁に手を伸ばすと、
小屋の中が明るく姿を現した。
ならぁ、リンネさんは?
2人が荷物を玄関から中に
移動させると、リンネが
野菜と、米を手に戻ってきた。
「女将さんが、食材を分けてくれ
ました。これで、ご飯作れます」
カレーにしましょう。
リンネが、2人の前を通りすぎて
小屋の中に進んでいく。
玄関の明かりだけが灯る小屋で、
ほの暗い部屋に入ると、
チョウコが声を上げた。
「うぇー、ここって絶景ビュー
やん!!めちゃぜいたくー。」
「いやぁ、ほんまええ景色や。」
「夜に明かりを消すと、星が
すごいですよ。山の醍醐味です」
リビング一面が
展望ガラス張りになって、
夕方の山合の影と、空が、
カクテルグラデーションを創る。
もう、その上空には一番星さえ
煌々と光っていた。
「そうや、リンネさんて、どこの
人ー?ここじゃないやんねー。」
チョウコが、リンネの荷物を
手伝って持つと、
リンネが リビングの電気をつけた
「、、加太に住んでます。」
「ふうん。あんま、らしくない
しゃべりやから、意外ー。」
チョウコの返事に合わせて
紀州のお人ですかぁと、キコが、
炊飯器を洗う。
「キコさん、ほんまちゃっとやる
のん、躊躇ないなー。普通、米
やりますとか言うとこやん。」
「えぇ、さっきカレーやて言うて
はりましたやん。米洗いますぅ」
キコが炊飯釜にチョウコから
渡された米を入れる。
「あの。お2人はご友人で?」
『チャッチャ、チャッチャ』
研ぐ音をBGMに。
「ちゃうちゃう。ヒッチハイク
して来よった、全然他人やよ。」
『ザーーーーー』
じゃがいもを見つけて洗えば。
「それ違いますわ。チョウコさん
が、車でナンパしてきはったん
でしょ?クラクション押して」
『♪♪~♪♪♪♪~』
炊飯器のスイッチ曲が流れる。
「ふつう山ん中、女1人ヘロヘロ
で歩いとったら、クラクション
鳴らすやろ?リンネさん、包丁」
リンネが、玉ねぎを剥くため
手に取ると、チョウコの言葉に、
少し間を溜めて 呟いた。
「怖いですね。」
えー、別に子供じゃないし
包丁大丈夫やってー。
あらぁ、チョウコさん警戒され
てますかぁ。
人参やジャガイモを持つ
2人の女達は、揃ってリンネを
見て
それぞれにしゃべる。
「今ので、長く独り暮らし
してきた感じしますよね。
私たち、空気が似てますよ。」
キッチンの備え付けから、3本
包丁を出して
「初めて会った割にはですけど」
1本を自分の前に置くと、
あとの2本をそれぞれ2人に
渡す。
「それに、ふつうじゃない。」
そしてリンネは、
玉ねぎの皮を剥ききって、
置いていた包丁でタンと切ると。
「だって、そうでしょ。」
『トントントントン』
千切って、
「亡くなった人の魂に会いたい
から、寺で待たせてくれなんて」
『貴女も、貴女も。』
黙っままの、
チョウコとキコの間に置いた鍋に
玉ねぎを入れる。
「、、、肉は、、、」
「お肉先やわ、、、」
チョウコとキコの目は、間の鍋に
注がれる。
「お肉は入なし!生臭禁止で!」
行くのですよね?
待つのですよね?
リンネはそれだけ伝えて、
コンロの火を付けた。
チョウコはジャガイモを、
キコは人参を 鍋に入れる。
他人3人でカレーを創れた頃
には、星は澄んだ空に
高く昇っていた。