その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~

このスクラブはC健の看護師の制服なので、彼女は外来のナースなんだろうと当りが付いた。

ジップアップのスクラブは胸の上まで捲られ、大きな胸が黒いレースのセクシーなブラからはみ出している。
下着はつけていたものの制服のパンツは片足から抜けていて、まさに『いざ挿入』というタイミング。

思わず声を出してしまったせいで、お楽しみ中だった2人に気付かれてしまった。

先に私に気が付いた看護師さんは明らかに『ヤバイ』という顔をして男性の腰から下りると、手早く服装を直し、何も言わずにこの場を走り去って行った。

彼女の左手の薬指にはシンプルなシルバーの指輪が見えたので、あの気まずそうな表情はそれが原因だと思われる。

それにしても、この現状で1人で逃げ出すなんてズルくないか。居たたまれないのは私の方だというのに。


「あーあ。逃げられちゃった」

スーツ姿の男、友藤さんは至極残念そうに肩を落とした。

顔と名前くらいは知っていたものの、こうして話すのは初めてなので初対面のようなもの。

それなのに私は何を見せられているのか。

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