その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~

「あの…目のやり場に困るので。ソレしまってもらえます?」

ベルトが緩められ、スラックスのチャックも下りている。

明らかに臨戦態勢のソレが下着の中で主張しているのが見えてしまって気まずいことこの上ない。

なぜあの看護師さんが素早く着替えている間にズボンくらい履けないのか。

心の中で早く服装を整えて出て行って欲しいと考えていると、友藤さんは私の言葉をスルーして話しかけてきた。

「君が代わりに続きシてくれる?」
「……はい?」
「俺は君なら大歓迎だけど」

少し垂れた目が私を誘うように見つめる。
人好きのしそうな顔なんだろうけど、私にはもう胡散臭そうにしか見えない。

頭が沸いているとしか思えない発言に顔を顰めた。

雰囲気イケメンだからって許されると思ってる?
正真正銘のイケメンですら許されざる言動だと思うんだけど。

これだから自分をモテると思ってる奴は嫌いだ。

イケメンは正義ではない。断じて違う。


< 13 / 110 >

この作品をシェア

pagetop