その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~
美香が乱入してきてとんでもない修羅場になりそうだったところを、契約を切るという暴挙に出て私を守ろうとしてくれた。
確かに、少し彼に救われた。感謝もしている。
でも、それだけ。
「告白っぽいこと言われたんでしょ?それからどうしてるの?」
「……まぁ、極力会わないように?」
「あーあ」
「だって!奈美だって知ってるじゃん、私が今までなんで彼氏と長続きしなかったのか」
そう、私は奈美には全て話していた。
恋人に対し強い独占欲を持ってしまうこと。昔の彼女にすら嫉妬して苦しくなること。
そして、過去には親友の奈美にすら独占欲を抱いて苦しかったことも全て。
「どう考えても無理。人妻と職場で真っ最中なの見てるんだよ?!」
他にも私が仕事でよく関わる人の中にも、彼と関係を持っていた女性が何人もいるはず。
「朱音の話を聞く限り、会社の人達とは完全に割り切った身体だけの関係でしょ?嫉妬するほどチャラ男に気持ちなんてないよ。十中八九チャラ男は相手の顔も名前も覚えてないわ」
「…それはそれで最低だけど」
あり得る話だとは思った。
まさかみんながみんな身体だけじゃないだろうけど、全員が彼女になれかたといえばきっとそうじゃないだろう。