その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~
でも…中にはちゃんと付き合っていた人だっているはずで、その数はきっととんでもなく多い。
もはや何に嫉妬したらいいのかわからないほど、心がぐちゃぐちゃになっていく気がする。
「よし!じゃあ合コンするか!」
「やだ」
「何でよ」
速攻断ったのが予想通りで可笑しかったのか、奈美は笑いながらグラスを傾けた。美人がロックグラス片手に微笑むと何て絵になるんだ。多少口が悪かろうと、この美貌と面倒見の良さでモテる奈美は、中学時代から彼氏を切らしたことがない。
「チャラいのしか来なさそう」
「まぁ出会いを求めた奴らの集まりだからね、否定はしないけど」
彼女はぐいっと顔を近付けてくる。
「それならそれでいいじゃん。朱音もこの際1回くらい遊んでみな?そしたらたかが1回寝ただけの相手なんてこんなもんかってわかるから」
奈美の言っていることは分かる。
私が相手に執着しすぎるのは、軽い遊びも出来ないほど恋愛に関して潔癖だからなんだろう。
「まぁヤるヤらないはともかく、息抜き程度に色んな男を見るのもアリだよ。朱音が真剣に付き合わなければ嫉妬も独占欲も感じようがないんだから気楽でしょ?」
「うーん」
「はい、決まり!こっちでメンツ集めるから。あんたは可愛くしておいで!」