2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
何も言わず、何も聞かず……
そして、立ち止まって私のことを見た。


上から見下ろされてる私の顔は、間違いなく涙でぐちゃぐちゃ。
私、樹さんには変な顔ばっかり見られてる。
本当に恥ずかしい……


「柚葉、我慢なんかしないでいっぱい泣いたらいい」


樹さんは、私を引き寄せ、優しく抱きしめてくれた。
きっと、これもアメリカ式。
でも、何でもいい。
今は、樹さんにただ甘えたかった。


私を抱く樹さんの腕に、少しずつ力が込められていく。
背中を支えてくれるその腕に、ものすごく守られてる気がした。


周りには誰もいない、静かな2人だけの時間が続く。


「……ごめんなさい」


そのうち気持ちが落ち着いて、私は樹さんから離れた。


「大丈夫か……?」


「はい……。おかげで落ち着きました。厚かましく抱きついたりしてごめんなさい」
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