2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
私達は、人気の無い道をまたゆっくり歩き出した。
もう、涙は出ない。だけど、まだ重苦しい気持ちをぬぐい去ることはできなかった。


しばらく歩いたところで、


「柚葉が抱きついてきたわけじゃない。俺がお前を抱きしめたかったんだ」


樹さんがポツリと言った。


「つらそうな柚葉のこと、放っておけないだろ」


樹さん……


「本当に……すごく優しいんですね」


そう、この人は人間として私を守ってくれてる。


「そんなことない。どうしたら柚葉が元気になれるのか、正直、俺にはわからないんだ」


樹さんは、すごくつらそうな顔をした。
人のために、ここまで一緒に悩める人なんてなかなかいないと思う。


「私、今日はすごく楽しかったです。ボーリングしたり、ラーメン食べたり。本当に元気になりました。嬉しかったです、すごく」


「……柚葉がそう言うなら……まあ、良かった」


「はい、本当に楽しかったです。でも……」
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