2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「ん?」


「樹さん、私なんかと遊んでて大丈夫なんですか? 彼女さんがいるなら……」


とうとう口に出してしまった。
いくら私を励ますためでも、彼女がいるなら2人で会うのは良くない。


「いない。彼女なんか」


少し冷たく聞こえたのは気のせい?


「いないんですか……本当に?」


「信じないのか?」


「いえ、すみません。樹さんには素敵な彼女さんがいるんだろうなってずっと思ってました。きっと、美人の彼女さんが……」


「美人……ね。この前、俺が空港で言ったこと、根に持ってる?」


2人とも、苦笑い。


「別に根に持ってるわけじゃないですよ。私が美人じゃないのは確かだから」


「あの時は……悪かった」


よそ見をしながら、樹さんは言った。
本当に悪かったなんて思ってるの?


「会って、いきなりでしたからね。ちょっとショックでしたけど」


「……」


樹さんは、黙ってしまった。
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