2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
こんなことになるなんて、あの時は全く思いもしなかったのに……


「柚葉……」


樹さんの声にハッとして、柊君の顔が私の頭の中から消えた。


「あっ、すみません……」


少しの沈黙。


「確かに、お前は……美人じゃない」


「樹さん、まだ言うんですか? ちょっと……ひどくないですか?」


半分、冗談っぽく笑いながら、でも半分は、リアルに落ち込んだ。


これが私なんだ……
そんなことは、自分でもよくわかってるのに。


「でも……。柚葉は、可愛い」


え……樹さん?
今、何て言った?


私はそれ以上動けなくなり、樹さんも私から5歩分だけ歩いて立ち止まった。


そして、振り返った――


「柚葉、お前は可愛い。だから、もっと自信を持てばいい」


「えっ……」


そんなこと……
可愛いなんて、嘘みたいにイケメンな顔で言わないでよ。


真っ直ぐに私を見る目も、お願いだから、樹さんからそらせて……
吸い込まれそうで、瞬きさえもできない。


「……行くぞ」
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