2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
仕方なく専務のあとに続き、着いた先は、1階下のフロアにある一般の人も予約して使える会議室だった。
その時、周りには誰もおらず、静まり返った場所にハッとした。


「柚葉ちゃん」


その瞬間、私は専務に腕を捕まれ、ほぼ無理矢理部屋の中に押し込まれてしまった。


「ちょっ、ちょっと何するんですか?」


「ごめん、ごめん。びっくりさせて」


「あの、コピーは?」


「後でいいよ、そんなの」


「どういうことですか?」


「柚葉ちゃん、今度のクリスマスなんだけど……」


その後、専務の口からとんでもない言葉が飛び出した。


「2人きりで、一緒に過ごさないか?」


「ど、どういう意味ですか? 専務さんは、奥さんがいらっしゃいますよね?」


「奥さんがいたら、柚葉ちゃんを誘っちゃダメ?」


ダメ?って……
びっくりを通り越して呆れた。


「当たり前じゃないですか! 結婚してる人が、他の女性を誘ったら……」


「不倫になる?」


濃いめの顔が私に迫る。
イケメンだって周りは言うけど、私は全く思えない。


「不倫って……。私と専務は何もないですから、不倫じゃないです。でも、他の女性に声をかけたら、奥さんは悲しみますよ」
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