2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「社長室に樹さんがいたから、一緒にきてもらったんだよ」


「樹さん、すみませんでした。本当にありがとうございます」


「いや、柚葉に怪我がなくて良かった」


「大丈夫です。本当に何もなかったので。でも、軽率だったと思います。仕事のことだと思って深く考えずに着いてきてしまったので……」


「仕方ないよ。専務に呼ばれたら誰だって仕事だと思うよ。柚葉は悪くないから。悪いのはあいつだよ」


「……私、本当に……バカだよね。自分が嫌になる」


2人は、それ以上何も聞かなかった。


私は、専務のいるこの会社からすぐに逃げたいと思った。
プロジェクトも年末までには終わる。
本当に、あと少し、あと少しの辛抱だ。


全てが終われば……
専務はもちろん、柊君ともさよならできる。


柊君の姿を見ることはなくなるけど、それでいいんだ。
そうしなきゃ、ダメだから。
< 123 / 264 >

この作品をシェア

pagetop