2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「ごめん。今日は1人でいたいんだ。みんな、クリスマス・イブを楽しんでね」


そう言って、柊君は女子社員達を振り切り、笑顔でフロアを出た。
その後ろ姿が、なぜか少し寂しく見えた。


柊君は、1人で過ごすって言ってたけど、たくさんいるガールフレンド達とは会わないの?
知りたくないのに、つい考えてしまう自分がいる。


もし本当に1人で過ごすなら、私だけ楽しむのは何だか気が引けるけど……
ううん、柊君が悪いんだから、別に私が気にしなくてもいいんだ。
柊君だって、ああ言いながらも、やっぱり誰かと一緒にクリスマス・イブを過ごすのかも知れないし。
さっきは私がいたから気まずかっただけかも。


柊君が帰ってしまって、女子社員達はみんな、一斉に帰っていった。
静まり返ったフロアには、私以外誰もいなくなり、複雑な気持ちが心の中を駆け巡った。
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