2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「ああ。こんな夜景、今までゆっくり見る余裕がなかった」


「忙しかったですもんね。樹さん」


本当にこんな素敵な場所、よく見つかったなって思う。


「お腹空いただろ」


そう言って、樹さんは、後ろのシートに置いてあるボックスから何か取り出して、私に渡してくれた。


「少し冷めてるけど」


ハンバーガー、触るとまだ温かい。


「悪いな、こんなもんで」


「い、いえ、とんでもないです。すごく美味しそうです」


樹さん、さっきフロアに遅れてきたのは、これを買いにいってくれてたからなんだ……
嬉しい……
何気ない優しさが、ただただ嬉しかった。


「クリスマスイブだし、普通なら高級レストランで食事とかなんだろうけど……。悪いな。俺はこういう方が好きだから」


「私もハンバーガー大好きですよ。それに温かくて嬉しいです。これ、保温ケースですか?」


「ああ、昨日買った」


ハンバーガーを食べながら、樹さんが言った。
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