2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「柚葉……」


樹さんが、私を見つめた。


「……?」


「いろいろ、今はまだ気持ちが定まらないかも知れない。でも、お前の気持ちが少しでも前に向けるよう……」


1度、目をそらせ、そしてまた私を見て、樹さんはゆっくりと言葉を続けた。


「俺は、柚葉を……支えたい。お前を守りたいんだ。今だけじゃなく、これから先もずっと」


「樹さん……」


「俺、柚葉が好きだ」


樹さんは、花束を抱えたままの私を抱きしめた。
精一杯言葉をつむいだ、綺麗で優しくて温かいセリフに、胸がいっぱいになる。


「柚葉と一緒にいたい。お前の笑顔をすぐ隣りで毎日見ていたい」


少し震えるような声で耳元で囁かれ、私は全身の力が抜けていくのを感じた。


「すぐに答えはいらない。柚葉の気持ちが落ち着くまで、いつまででも待つ。いつまででも……」


「……私、何ていったらいいのか……」


「今は何も言わなくていい。ただ……俺の誘いは断るな」


「誘いは断るなって……。樹さん、強引です……」


樹さんは、優しく微笑んだ。
その笑顔がとても愛おしく感じる。
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