2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「何よ……。私、絶対に認めないわ。パパの会社と取引ができなくなってもいいの?」


「お前は、そんなことをする奴じゃない。それに、モデル仲間の健人も貴也も、お前のことが好きなんだ。そのこと、知ってるだろ? あいつらは、本当に良い奴らだ。だから、お前はお前の幸せを見つけてほしい。俺には……柚葉が必要なんだ」


樹は、沙也加さんの前に立って諭すように言った。
こんなこと言われたら、沙也加さんは余計に樹を好きになるかも知れない。
樹の言葉には温かさがあって、私も、何度心を揺さぶられたかわからない。


「それでも、私……やっぱり樹が好き。樹を諦めたくない。それはわかってちょうだい。柚葉さん」


「は、はい」


「今日から私達はライバルだから。絶対、あなたには負けない」


沙也加さんは足早にラウンジを出ていった。


私は、なぜか沙也加さんを憎めなかった。
人を好きになって、それが成就しない気持ちって、本当につらいから……


ごめんなさい、嘘ついてしまって……
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