2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「柚葉、悪かった。会社を立ち上げてすぐに、沙也加にお父さんを紹介してもらった。その時はただの友達だったのに、少し前に交際を申し込まれて。何度断っても無理だった。それで、お前に……」


「そっか……うん、わかった。沙也加さんに早く諦めて幸せになってもらいたいんだよね。それが、沙也加さんに対する樹の優しさ……」


「そんな良いもんじゃない。確かに、仲間としては沙也加に幸せになってもらいたい。だけど、正直、取引先として、もし今の関係を切られたらって……。そんな不安が頭をよぎったのも確かだ」


「当然だよ。仕事は遊びじゃないし。大事な取引先から手を引かれたらどうなるかくらい、私でもわかるよ」


「本当に悪かった。でも、今は、もしそうなっても仕方ないと思ってる。俺のせいだし、その分、またがむしゃらに仕事を頑張ればいいだけだ」


樹の無理してる顔がせつない。
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