2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「私、沙也加さんのお父さんとの関係が上手くいくことを願ってる。もし、樹と柊君の仕事が大変なことになったら、せっかく今まで頑張ってきた苦労が……。どうしたらいいんだろう。何か役に立てる方法はないのかな?」


本気で心配でたまらなくなった。
樹のことはもちろんだけど、柊君には仕事が必要だと思うから。
必死に頑張ってきた柊君の姿を、私はずっと側で見てきた。仕事が大好きで、日本一のIT企業にするんだって、いつも夢を語ってくれてた柊君を。


もしも倒産なんてことになったら、いくら女の子がたくさん周りにいても、柊君はきっとダメになると思う。


「柚葉は心配しなくていい。俺がお前を巻き込んだんだ。俺が考える」


「沙也加さんが簡単に諦めてくれなかったら……」


「だとしても、俺はお前以外考えられない」


そんなこと言わないで……
柊君の心配をしてた感情が、今また樹を思う感情に入れ替わった。
この気持ちは本当にどういう感情なのか?
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