2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「それより、俺が出勤した後は、戸締りをキチンとすること、いいな。鍵は昨日渡したよな」


「あ、うん。鍵、ありがとう。今日は18時までだから、帰りは私の方が早いよね」


「そうだな、気をつけて帰れよ。何かあれば大声で叫ぶか、非常階段から逃げる、いいな」


本当に、私のこと、ずっと心配してくれてる。
子どもみたいな扱いだけど、でも……やっぱり嬉しい。


「大丈夫だよ。ちゃんと気をつけるから」


「……ああ」


樹は、しばらくしてからマンションを出た。
それを見送る私。
本当に、不思議な感覚だ。


樹の私物にはあまり触れないように気をつけながら、私も出かける準備をした。


これから、しばらくこの生活が続くのかな?
恥ずかしいような、嬉しいような。
緊張感もあって、本当に現実味がない。
でも、始まってしまったからには、樹さんとのルームシェアを楽しまないともったいない気がしてる。


きっと、沙也加さんが樹を忘れられたら、私達のルームシェアは解消――
もう二度と、一緒に暮らすことなんてないのかも知れないから。
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