2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「……ああ、いや、今日は……」


樹の態度がちょっと気になる。
何か言いたい事があるの?


「どうかした?」


「いや、今日は……お前に言いたいことがあってあの店に連れていったんだ。でも、たまたま沙也加に会って」


「そうだったんだね。何かあった?」


仕事? まさか柊君のこと?
何だか聞くのが怖い気がした。


「柚葉、俺、クリスマスに告白したよな」


「えっ……あっ、うん」


忘れるはずがない。
急激にあの時のことが思い出される。


「確かに答えを急がせるつもりはない。もちろん、いつまででも待つ」


私は、ゆっくりとうなづいた。


「だったら……」


「……?」


「だったら、その先のことも一緒に考えてもらった方がいいと思ってる」


「その先のこと?」


樹は、ほんの少しだけ私に近づいた。
スーツ姿の樹から、フワッといい香りがする。


「柚葉。お芝居じゃなく、ちゃんと俺の……」
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