2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
俺の決意~樹side~
「柊……。ちょっと話したい。今夜、時間ある?」


「ああ、いいよ。樹のマンションに行こうか」


「いや、久しぶりに和食に行こう」


「わかった。予約しとくよ」


「頼む」


俺は、柊を誘った。
全て、話そうと思う。


きっと、まだ柊の心の中には柚葉がいるだろう。
もう、忘れてもらいたかった。
ひどい弟だな……俺は。


最初は2人の結婚を祝福するつもりだった。
なのに今は、こんなにも柚葉を愛している。


引き返すことなんて絶対しない――


もうこれ以上、柊に隠しておくことが苦しかった。
いや、ただ自分がラクになりたいだけかも知れない。


柊の気持ちを考えると胸が痛む。
それでも、話さないといけないと思った。


仕事を終えたのは、19時だった。
予約の時間まであと少し、お互いの車で急いで店に向かった。
柚葉と初めて会った日に食事した、あの和食の店。


なぜか少し、緊張している。
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