2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
私は、佐藤君とのことを簡単に真奈に話した。


「有り得ないよ。浮気しといてあの態度。まさか柚葉にお金借りようとしてる? 借金で怖いヤツらに追われてるとか。そんな感じの顔してた」


「でも、佐藤君、私がどこに住んでるか知らないはずだから」


「あいつ、柚葉の部屋に行くって言ってた。柚葉がマンションに住んでるって知ってるんだよ。誰かに聞いたとか。ストーカーかも知れないし、早く社長に話した方がいいよ」


確かにそうだけど……


「柊君に話したら、心配かけてしまうから」


「何言ってるの! 結婚相手でしょ? ちゃんと話さないとダメだよ。社長なら絶対に守ってくれるから」


柊君には話したくなかった。
浮気された過去なんて――


「話にくいなら、私が社長に言ってあげるよ」


「ありがとう。でも、大丈夫。何とかするから」


「何とかするって、1人じゃ何もできないでしょ? ちゃんと社長に言わなきゃダメだよ」


「……うん。心配してくれてありがとう。真奈、次の予定があるんでしょ? 早く行かなきゃ」


「あっ、うん。とにかく連絡するんだよ。じゃあ、ごめんね、行くね」


真奈は歩きながら後ろを何度も振り返り、見えなくなるまで私のことを気にしてくれた。


「……帰ろう」


私も、マンションに向かい、ため息交わりに歩き出した。
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