2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
でも、それが柊君の恋愛感。
今の言葉も、ものすごく頑張って出した答えなのかも知れないけど……


やっぱり、私、怖いよ。
また、あんな暗闇の中に落ちるのは……
あの時、そこから救い出してくれた樹がいたから、私は何とか這い上がれた。


今の私には樹がいる――


「ごめん、柊君。私、今は……」


でも、言えなかった。
樹を好きだって……


「僕は柚葉を諦められない。勝手だってわかってても、樹が柚葉を好きだって知ってても、毎日寂しくて寂しくて仕方ないんだ」


目を潤ませる柊君を見るのはつらかった。
だけど……


「そんなこと言わないで。私はもう前みたいに柊君を愛せないよ。やり直しなんて絶対にできない」


その時、柊君のスマホが鳴った。
相手は、樹だったみたいだ。


「もしもし樹? うん、今、柚葉といる。話したいことがあったから」


柊君は、樹にそう言った。
< 216 / 264 >

この作品をシェア

pagetop