2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「ああ。この前、樹が柚葉を好きって聞いて、僕は応援するつもりだった。でもやっぱり、僕は柚葉を愛してるんだ。だから……もう一度、やり直したくて」


スマホの向こうの樹は、何と言ってるんだろう?
ものすごく気になった。


「……わかった。今夜、マンションに行くよ」


柊君はそう言って、スマートフォンをカバンに入れた。


「仕事が終わったら、樹のマンションに行ってくるね。話し合ってくるよ」


樹を好きだってことも、一緒に住んでることも……
今ここでちゃんと言えばいいのに、なぜか言えなかった。
柊君を悲しませたくない――
それは、私の柊君への同情なのかな……


全てを話せばショックを受けるだろうか?
それとも諦めてくれるだろうか?


色んな思いが頭を駆け巡る。
柊君にとって、樹は大切な家族。
弟と元婚約者が、自分と別れてすぐに付き合ってるなんて、きっと驚いてしまうよね。


でも今夜、柊君がマンションに来たら全てがわかる。
それで……良かったのかも知れない。


その時に全て知ってもらおうと思う、私の正直な気持ちを――
< 217 / 264 >

この作品をシェア

pagetop