2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「柊君……大丈夫?」


一点を見つめる柊君に、私は声をかけた。


「……うん、大丈夫だ……よ。そっか、知らなかったよ。2人で住んでるなんて……樹がそんなことするなんて……ちょっと……」


柊君は、樹を見た。
とても悲しくて、冷たい目。
柊君は、こんな目をするんだ……


「柊、悪い。俺のわがままで」


そう言った瞬間、柊君は樹に掴みかかった。
その勢いで、樹はテーブルの横に倒れ込んだ。


「ちょっと止めて! 何するの?」


思わず私は叫んだ。
柊君がこんなことするなんて驚きを隠せない。


「お前は僕から柚葉を取り上げるの? 僕はこんなに柚葉を愛してるのに」


柊君は樹の上に乗り、襟を掴んでる。
でも、樹は、されるまま何も抵抗しなかった。


「殴っていい。柊の気が済むまで。俺はお前の大切な人を好きになった。それは……殴られても仕方ないことだ」


その言葉に、柊君はこぶしを高く上げた。


「お願い、柊君止めて!」


私は、柊君の腕を掴もうとした。


「柚葉、いいから離れてろ」
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