2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
その時、携帯が鳴り、ビクッとして肩がキュッとなった。


画面には「柊君」の文字。
その名前を見て、すごくホッとした。
私は、急いで着信ボタンを押した。


『柚葉?』


「柊君……」


『どうした? 声が変だけど、何かあった?』


「ううん、何もないよ。それより……柊君は? 仕事中でしょ?」


『取引先の人に会ってて、今、少しだけ時間が空いたんだ。そしたら急に、柚葉の声が聞きたくなって……』


聞き慣れた柊君の優しい声。
この声、すごく安心できる。


「ありがとう、嬉しい。私もちょうど声聞きたいなって思ってたから……」


思っていたことをつい言葉にしてしまった。


『そっか。ちょっと今抱えてる仕事がいろいろあって。でも、柚葉の声聞いたから頑張れるよ。真奈ちゃんと会ってたんだよね? ごめんね』


「……ううん、もう別れたから、全然大丈夫。柊君、お仕事……頑張ってね」


たまらなく不安なくせに、強がってしまう自分が虚しい。
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