2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
大切な日
レストランが軌道に乗り、あっという間に1年が過ぎた。


「やっと今日を迎えられた」


樹の白いタキシード姿が眩し過ぎてドキドキする。


「うん、そうだね」


私も、白いウエディングドレスに身を包んでいた。2度と着ることはないと思っていたのに……
今日、大好きなあなたのために着ることができて、すごく嬉しい。


樹のお嫁さんにしてもらって、私は今、どうしようもないくらい幸せだ。


由緒ある教会での結婚式。
お互いの家族を招待して、初めて顔を揃えた。私達のことは、家族みんながとても祝福してくれてる。


嬉しいことに、真奈と良介君も来てくれた。
涙を流して喜んでくれた2人には、心からありがとうと言いたい。


そして――
柊君にも招待状は出したけど、やっぱり来てくれなかった。
仕事が忙しいだろうから、仕方ないけど……


「樹さん、柚葉。これ、2人に渡してくれって、社長から預かってきました」


真奈が、私達に渡してくれたのは1枚のカードだった。私が中を開くと、柊君の綺麗な文字で『結婚おめでとう、末永くお幸せに』と、ただそれだけ書かれていた。


その瞬間、柊君の優しさがジンジン伝わってきて、涙が滲んだ。
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