2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「ここ……」
「久しぶり……だよね」
「あ、ああ……」
昔、1度だけ妻と泊まった旅館。
たった1度の旅行。
それ以来、仕事にかまけて、どこにも連れてってやれなかった。
俺達は、1番眺めの良い部屋に通された。
「おい。この部屋、高いんじゃないのか?」
「ここが良かったの。あなたと来た、最初で最後の楽しい思い出の場所だから」
「……あ、ああ、そうだな。確かに……でも、お前……」
「景色が最高なのよね、この部屋。海も見えて。初めて来た時も、あまりに綺麗だからって、ずっと部屋にこもって……」
正直、あの時は、疲れていてあまり動きたくなくて、部屋でゆっくりすることを提案した。
妻にしてみれば、初めての旅行なんだから、観光もしたかったのかも知れない。
「そんな嫌味を言うために来たのか? 俺のことどうするつもりだよ。お前の魂胆聞かせろよ」
思わず口調が荒くなる。
「私の名前は明美。お前でも、おい、でもないわ。ずっとそんな風に呼ばれて、あなたはいつも仕事仕事って、私のことをないがしろにしてきた。私達は確かに夫婦じゃない。でも私は……あなたのこと……」
「久しぶり……だよね」
「あ、ああ……」
昔、1度だけ妻と泊まった旅館。
たった1度の旅行。
それ以来、仕事にかまけて、どこにも連れてってやれなかった。
俺達は、1番眺めの良い部屋に通された。
「おい。この部屋、高いんじゃないのか?」
「ここが良かったの。あなたと来た、最初で最後の楽しい思い出の場所だから」
「……あ、ああ、そうだな。確かに……でも、お前……」
「景色が最高なのよね、この部屋。海も見えて。初めて来た時も、あまりに綺麗だからって、ずっと部屋にこもって……」
正直、あの時は、疲れていてあまり動きたくなくて、部屋でゆっくりすることを提案した。
妻にしてみれば、初めての旅行なんだから、観光もしたかったのかも知れない。
「そんな嫌味を言うために来たのか? 俺のことどうするつもりだよ。お前の魂胆聞かせろよ」
思わず口調が荒くなる。
「私の名前は明美。お前でも、おい、でもないわ。ずっとそんな風に呼ばれて、あなたはいつも仕事仕事って、私のことをないがしろにしてきた。私達は確かに夫婦じゃない。でも私は……あなたのこと……」