2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
ずっと目の前にいた女を幸せにしないで、俺は……


「最後の夜だから笑って過ごしたい。あなたを好きだった自分とも今日でお別れ。新しい人生を歩む前に、楽しい思い出を頂戴」


本当に……俺はバカだ。
ずっと何をしてたんだ……


明美が……妻がホストに入れ上げてるって本気で信じてた。まさか、俺に気づいてほしくてついた嘘だったなんて……


次の朝、目が覚めたら、もう妻はいなかった。
置き手紙さえもなく……


なぜか、大きく落胆する自分がいる。
あんなに冷めていた妻への想いが、炎のように燃え上がって……
でも、もう……全てが後の祭りだ。


自業自得。
俺みたいな男は、誰にも愛してもらえない。
妻との思い出を頭の中から引きづり出し、かき集めようとしたのに、俺の頭の中には……何もなかった。空っぽの記憶に、俺は、ただ妻に懺悔するしかなかった。


何もかも失って……
これから先は、ただ虚しい人生が自分を待っているのか。


妻は、その後……
2度と戻ってくることはなかった。
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