2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「そうだったんですか……。奥さん、つらかったですよね。そんなことが目の前で起こったら耐えられないですよ……」


「私がその人の立場でも、おかしくなってしまうかも知れない……」


真奈が言った。


「そうですか……。今はあなたのところに行ってるんですね。しばらくして来なくなったんで、気にはなってたんです。実はあなた、彼に顔が良く似てます」


「だから、良介のところに……」


「彼は、奥さんを愛してました。もちろん奥さんも。本当に……可哀想なことをしました」


俺達は、重い心を引きづり、お礼を言ってそこをあとにした。


「真奈……。しばらく、あの人の気持ちが治まるまで、俺、旦那さんの代わりになってあげてもいいかな?」


真奈はうなづいた。


それから俺は、毎日、お弁当を受け取っている。
ただ、嬉しそうに笑う彼女の後ろ姿を見送るだけ……


だけど、そのうち、彼女は……来なくなった。
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