2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
店長の知り合いに聞いたら、あの人は遠い田舎に住む両親の元に帰り、一緒に暮らし始めたということだった。


ホッとしたって言うのかな?
俺から離れたことにではなく、彼女が身内のそばで暮らせることに。


これからゆっくり、ほんの少しずつでも心を取り戻していけたら……
そして、いつかきっと、旦那さんとの幸せな日々を胸に、誰よりも幸せになれる日が来ることを心から信じたかった。


それから時は過ぎ、俺は、ようやく真奈にプロポーズする決心が固まった。
正直、お金はそんなに無い。だけど、愛情は誰よりも持ってるつもりだ。


あのことがあって、俺の中に、真奈を守るための強い責任感が芽生えた気がする。


大切にしたい人がいる――
それだけで、人は幸せになれるんだ。


でも、一緒にいることが当たり前になって、相手を思いやれなくてケンカしたり、優しくできなくなることもあるかも知れない。


目の前にある幸せに気づけなくなる時があったとしても、この日常は……


絶対に当たり前なんかじゃない――


一緒にいられるこの時間が、何よりも大切で、宝物みたいな時間なんだ。
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