2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
私は、柊君の言葉を胸に、足早にマンションに向かった。


きっと、大丈夫。
いろいろあっても上手くいくよ。
柊君のおかげで、そう思えた。


だけど、マンションに着いて、ドアを開け、部屋に入ろうとした瞬間、私は誰かに背中を押されて、部屋の中に倒れ込んだ。


倒れながら振り向くと、そこには、帰ったはずの佐藤君がいた。
私を見おろしながら睨む、佐藤君の視線が恐ろしくて、私は身動きが取れなかった。


さっきまでの安心感は全て消えて、一気に暗闇に突き落とされた。


「ど、どうして……? 佐藤君、なんでこんなことするの? 怖いよ」


「お前さ、あの超有名なIT企業のIS(アイエス)の社長と結婚するんだってな」


「え? どうしてそんなこと知ってるの?」


私は震えながらも、廊下に手をついてゆっくり立ち上がった。
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