2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「お前さ。ことの重大さ、わかってる? こんなの見たら、結婚は確実に破談になるぞ」


佐藤君は、私の髪を掴んで壁に押し付けた。
あまりの恐ろしさに涙が止まらない。


柊君、お願い、助けて――
来るわけないのに、思わずそう願った。


髪を引っ張られたまま、私はただずっと怯えるしかなかった。


その時、ドアが勢いよく開いた。


「何してる! 柚葉を離せ!」


「柊君!!」


どうしてここに柊君がいるの?
わけがわからないけど、確かに目の前に柊君がいる。


「お前がこいつのフィアンセか? ナヨナヨしやがって」


そう言って佐藤君は、私をまた押し倒してから、柊君に掴みかかった。


「柊君逃げて! その人強いから!」


必死で私がそう叫んだ瞬間、柊君はその攻撃をかわし、代わりに佐藤君のガッチリした体を掴んで床に伏せさせた。


え……嘘……?
いったい何が起こったの?
柊君が、佐藤君をねじ伏せた?
さっきから展開が早すぎて、理解が追いつかない。


「柚葉! 警察呼んで」
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