2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
もう1人のあなた
あれから、柊君にも相談し、悩みながらも警察に被害届を出した。
あの出来事は、私の頭の中から1日も早く消したかった。これから柊君と歩む人生に、暗い影をまとうのは絶対嫌だから。


後悔をしないように、ずっと笑顔でいられるように、何があっても1日1日を大切に生きたいと思った。


もちろん、仕事もキチンとこなしたい。
今日も朝から自分に気合いを入れて、ここ、35階立ての立派な高層ビルにやってきた。下から遥か上を見上げると、自然にやる気が満ちてくる。


20階の広いフロア全てをオフィスにしている「IS」(アイエス)は、海外にも支店をいくつか展開しているかなりの優良企業だ。


ここの若き社長が柊君で、奥のガラス張りの社長室で1人PCに向かっている。
そのすぐ近くの部署に私と真奈がいて、いつでも柊君……社長が視界に入る環境にいられることが密かに嬉しかった。


たまにアイコンタクトすると元気になれるし、話す時はいつだってドキドキできた。
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