2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
将来、義理の弟になる人なんだから、大事にしないといけない……私は自分に言い聞かせた。


「アメリカに住んでるんだから、英語くらい話せて当然だ。つまらないお世辞はやめてくれ」


前言撤回!!
やっぱりこんな人、大事になんて思えない。
何なの、本当に柊君の弟?


いやいや、柊君の弟だと思うからダメなんだ。ただの「人」だと思おう。だけど、見た目が似すぎてるから変に頭が混乱する。


「樹はアメリカに行く前から英語が話せてたんだよ。僕らは、2人とも子どもの頃から英会話にずっと通ってたんだけど、樹の方が断然上手くて。ビジネス英語ができるから、それが樹の武器だよな」


柊君は、誇らしげに樹さんを褒めた。


「柊も英会話は得意じゃないか。ビジネス英語も、柊ならすぐにマスターできる」


「そうだな、英会話も頑張らないとな。樹は、昔から本当に何でもできる秀才なのに、なんせこの通り愛想が悪いから、周りに誤解されやすいんだ」


柊君は、そう言って笑った。


「何でもできるのは柊だろ。柊のおかげで、今は俺もやりがいのある仕事に就けたって思ってるし」
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