2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
柊君は久しぶりの兄弟の時間を心から楽しんでいた。終始笑顔の柊君を見ていたら、樹さんのことをずっと大事に思ってきたことがよくわかった。


結局、樹さんもお酒は飲まなかった。
柊君を気遣ってる行動に優しさを感じ、運転できないことを申し訳なく思った。


私達は、心ゆくままに素晴らしい料理を味わい、今のこの時間を楽しんだ。


樹さんは、私に対して冷たい言葉を投げることはしなかったけど、あんまり目を合わせてくれなかった。
仕方ない……。今日初めて会った私を、きっとまだ柊君の彼女として認められないんだろうから。


それに、私は美人じゃないし……ね。


「そろそろ行こうか」


時間もずいぶん経った頃、柊君の一声で、私達は店を出て車に乗り込んだ。


マンションまで送り届けてくれた柊君は、わざわざ車から降りて、「柚葉、今日はありがとう。明日また会社でね。戸締り気をつけるんだよ」と、頭をポンポンしてくれた。


さりげない行動にキュンとなる。
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