2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「うん。今日は、本当にありがとう。すごく楽しかったよ。樹さんも、ありがとうございました」


私は、助手席に座ったままの樹さんにも頭を下げた。


「ああ」


え? それだけ?
あっさりし過ぎてて、寂しい。さっきまで一緒に食事してたのに。


「じゃあ、行くね。柚葉おやすみ」


手を振って見送る私。
いつまでも笑顔の柊君に対して、最後まで樹さんは私を全く見なかった。


「同じ顔なのに、中身は全然違う」


思わず本音が口から漏れだした。


樹さんも、もっと愛想良くしたら素敵なのに……
あんな感じじゃせっかくのイケメンが台無し。


私の彼氏が柊君で良かった。
あんなに見た目も性格も良い人は、他には出会ったことがないし、これから先も絶対出会わない。


私には……柊君しかいない。
柊君がいてくれれば、他には何もいらない。


私は今日、樹さんに会って、柊君への愛を再確認できた気がした。
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