2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
本当の柊君がどんな人なのか、それを聞くのはすごく怖い。
だけど、知らなきゃいけない。


「あの……やっぱり一緒に聞いてもらえますか? 柊君と話す時……」


「ああ、わかった」


「すみません。2人の問題なのに付き合わせてしまって。ありがとう……ございます」


「……。仕事が終わったら、社長室で」


そう言って、樹さんは、私が持ってきたダンボールを拾い上げて、さっさとエレベーターに乗った。


樹さん、私のことを気にかけてくれてるの?
ううん、まさかね。気にかけてるのは私じゃなくて、柊君の方だよね。
大切な兄弟なんだから、柊君のことが心配なんだ、そして、もちろん会社のことも――


確かに、柊君と2人で話すのは怖かった。だから良かったのかも知れない。
誰かがいてくれた方が、少しは冷静になれる気がするし……
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