2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
時間は無情にも過ぎ、とうとう終業時間がやってきた。


みんな、次々と帰ってゆく。
残業組が全員帰るのを待ってから、私は社長室に呼ばれた。


樹さんは、少し離れて黙って椅子に座ってる。
樹さんが残ることは、きっと柊君は自然に受け入れてるんだろう。


ゆっくりと、柊君が私に近づいてきた。
空気がピンと張り詰める。


私の前に柊君が立って、そして、話し始めた。


「柚葉。昨日は驚かせてごめんね。でも、僕の気持ちは変わらない。僕は柚葉が好きだ。愛してる。だから、結婚してほしい」


柊君は、真剣だった。
――と、思う。


愛してるから結婚してほしい。
その言葉は、柊君がプロポーズの時に言ってくれた言葉だ。付き合って1年半後の私の誕生日に、柊君がプレゼントしてくれた大切な言葉。
あの時、私は、本当に体が震えるくらい嬉しかった。
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