2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
でも、そっか、あの時はもう……
昨日の女性と出会ってたんだ。
すごく派手な、ちょっと意地悪そうな女性。
柊君は、あの人とベッドを共にするような大人の関係だったんだ。


淫らな、気持ち悪い関係。


それなのに、柊君は、私にあんなに誠実そうにプロポーズした。
そう思ったら、全身に鳥肌が立った。


やっぱり信じられない。
柊君を、心から嫌いになってしまいそうで。


「私、いろいろ考えようとした。だけど、1晩ですぐに答えなんて出せなくて。でも、今日1日仕事してて、ほんの少しだけ冷静になれた」


「柚葉の気持ち、聞かせて」


「私ね、やっぱり柊君とは結婚できない」


あぁ、言ってしまった。
今の感情だけで思わず出た言葉かも知れない。それでも、もう、後には引けない。


大好きだった柊君との夢にまで見た結婚。
それが、今はドロドロの悪夢に変わってしまった。
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