お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜」

「は、はい……」



碧が1歩ずつ、私に近づいてくる。

私は1歩、2歩と後ろに下がる。

気づけば教室の壁に背中がくっついていた。


目の前に碧が立つ。

相変わらず身長高いし、きれいな顔している。

そんな碧との距離にドキドキがおさまらない。



「陽菜」



近い!

近いって!


私は碧との距離の近さに逃げようとするけれど。


バンッ!

これって、いわゆる、壁ドンってやつですか。


逃げられない私は碧と目を合わせる。

碧の片手が私の頬にそっと触れる。


壁ドンだけでなく、やさしく触れるとか反則だよ……。


碧は私の目を真っ直ぐにとらえる。



「……告白の返事、まだ?」

「え、あ……」

「俺が好きって言ったの、忘れていた?」



碧の言葉に首を横に振る。

忘れるわけがない。

すごく嬉しかった言葉を忘れるわけがない。



「じゃあ、なんで、なにも言わないの?」

「それは……っ」



……言えない。

脅迫みたいなメールが届いているから、なんて言えるはずがない。

碧に心配かけたくないし、不安にさせたくない。

巻き込みたくない。


そう思うのに、言葉に出来ない。
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