お前の隣は俺だけのもの。
芸能界に響いてしまうものだよね?


そんなの送れるはずがない!

スキャンダル動画って、碧がなにか問題を起こして、それを世間に広めたいっていう、犯人の狙いだよね?

犯人の狙いが分かりやすいメールの内容が逆に怖い。

そもそも、私、碧と写真を撮ったこともないのに、動画なんて撮れない。

私が碧の写真や動画をもらいたいくらいだよ。



「陽菜?」



携帯を握ったままの私の名前を呼ぶ碧。

顔を上げた瞬間、碧は私の目の前にいて。

私の携帯を覗き込むように見ていた。



「ちょっ、」

「……なに、これ」



碧の声がさらに低くなる。


……見られた。

1番見られたくない人に、メールを見られてしまった。


碧は携帯から私に視線を移す。



「陽菜。これってどういうこと」



疑問系じゃない質問。

碧がまとっているオーラは色濃く感じた。



「い、いやっ! 間違いメールじゃない!?」



慌ててごまかしてみるものの、碧に通用しないのは分かっている。



「ちゃんと説明して」



碧の眼力と雰囲気の鋭さに負けた私。


もう、隠すことは出来ない……、か。

碧はこのメールを“脅迫メール”だと完全に分かってしまったみたいだし……。
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