お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜」

「……分かった。全部話す」



私は碧にメールが届いた日の出来事から話し始めた。


碧に告白された直後にメールが届いたこと。

怜央と潤に相談したこと。

犯人を見つけること。

メールが毎日届いていること。


碧は驚きつつも私の話を聞いてくれた。

私が話し終えると碧が口を開く。



「なんで、俺に黙っていたの?」

「……碧に。負担をかけたくなかったから」



その瞬間。

碧は私の腕を引っ張った。


気づけば、碧の胸の中。

突然の出来事に頭がおいつかない。

こんな状況なのに、心臓がうるさい。



「バカ。……陽菜って本当にバカ」



耳もとで、碧のため息混じりの声が聞こえる。



「バカじゃないもん」

「……バカだよ」



なんで、そんなにバカと連呼するの。

その言葉は、碧の言葉によってかき消された。



「陽菜がひとりで抱え込んでどうするの」

「……っ」

「負担かけていいよ。陽菜が悩んでいることに気づけないことが苦しくなる」



そう思ってくれるんだ……。


碧の言葉に泣きそうになる。

涙腺が緩む。


私を抱きしめる碧の腕の力が強くなる。
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