お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜……」

「うん?」

「ごめん。なにも気づけなくて」



耳もとで聞こえたその声に、私の胸が締め付けられた。

碧に、そんな顔をさせたくなかったのに。

だから、言いたくなかったのに。

でも、話してしまったことに変わりはないから、フォローを入れる。



「怜央と潤には相談していたから! ひとりで抱え込んでいたわけじゃないよ!」



精一杯のフォローだったのに。

碧は大きなため息と言葉になってない言葉を吐き出す。

近くで碧の声を聞いていているのに、なにを言っているのか分からない。


私を抱きしめている碧は、私の肩に顔をうずめる。

碧の髪の毛が私の首筋に触れてくすぐったい。



「どうしたの?」



私が聞くと碧は呟いた。



「……ヤキモチだよ」

「え?」

「……怜央と潤にヤキモチ」



どういうこと……?

なんで、怜央と潤?


頭にハテナマークを浮かべる私。



「俺が陽菜を守りたかった。相談でもなんでも、俺が聞きたかった」



碧の言葉がストレートに届く。


ヤキモチ。

碧がヤキモチを妬いてくれた意味が分かった。
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