お前の隣は俺だけのもの。
「碧」

「ん?」

「ちょっと離れて」



私を抱きしめてくれている碧から少し距離を取る。

戸惑いを浮かべる碧。

そんな碧が少し可愛く見えた。



「碧」



今度は私から碧に抱きつく。

初めて碧に抱きついたかもしれない。

碧の背中に腕をまわす。

私より大きい背中。

男の子らしさを感じる。



「えっ、陽菜?」



私の突然の行動に理解できていない様子の碧。

碧を強く抱きしめる。



「碧」



こんなタイミングで言うのは良くないのかもしれないけれど。

それでも、あふれこぼれそうな、この想いを伝えるなら、今しかないと思った。



「碧のことが好き」



碧の胸の中で、はっきりと言葉にする。



「大好き」

「っ、」

「大好きだよ」



言いたくても我慢していた言葉。

ずっと言いたかった言葉。


何度も『好き』と伝える私の背中に温かいものが触れた。

碧が私を抱きしめてくれている。

それが嬉しくて。

涙と笑顔がこぼれた。
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