お前の隣は俺だけのもの。
「じゃあ、授業行こっか」



碧は私からそっと離れる。

少し寂しいな、と思っていると。



「陽菜」



碧が私の手を握る。



「えっ!?」



そのまま引っ張るようにドアへ向かう。



「碧!?」



振り返った碧の顔は楽しそうだった。

それは、年相応の男の子みたいな笑顔だった。


碧の笑顔に見とれていた私。

気づけば廊下に連れ出されていた。



「えっ!?」

「うそぉ……!?」

「信じられないんですけど!?」



空き教室を出た瞬間、廊下にいた生徒たちの悲鳴に包まれる。

特に女子生徒の悲鳴。



「なんでっ! あの子、九条くんと手を繋いでいるのよ!?」



あ……。

私、碧に手を引っ張られるように空き教室を出たんだ。


そのことに気づいた瞬間、碧と私は目を合わせる。
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